食べ物

日本の食文化とスケトウダラの不思議な関係

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「スケトウダラ」という魚を、あなたはご存知だろうか。

私の好きなテレビ番組「家事ヤロウ!」にたびたび登場するので、いくつか情報をお持ちの方も多いかもしれない。

今回はこのスケトウダラという魚に焦点を当て、日本の食文化への影響や明太子の起源なんかを調べてみた。

非常に有意義な調査になったため、ぜひ最後までご覧あれ。

スケトウダラとは?

スケトウダラは北太平洋に広く分布しており、ロシアやアラスカ、北海道でなどよく獲れる魚だ。

「スケトウダラなんて食べたことない!」

「スーパーで見かけたことないですけど?」

と思っているそこのあなた。

はたして本当にそうかな?

たしかにスケトウダラは劣化が早く、鮮魚として流通することは少ないので、切り身や刺身の状態でスーパーに並ぶことは少ないだろう。

だがしかし。

スケトウダラは、実は日本食文化に欠かせない魚なのだ。

スケソウダラとの違い

スケトウダラとスケソウダラって何が違うの?

と疑問に思っている方もいるかもしれないが、実はこの2つ、どちらも同じ魚のことを指している。

標準和名は「スケトウダラ」の方らしいが、まあどちらで呼んでも変わりはない。

ちなみに私はスケトウダラ派だ。

スケトウダラと加工食品

前述した通りスケトウダラの身は傷むのが早いため、主に加工食品の主原料とされている。

特にこれからの季節(秋〜冬)にかけて、食卓に頻繁に登場するおでんや鍋。

これらの具材となる練り物は、ほとんどがスケトウダラで作られているのだ。

練り物

はんぺん、ちくわ、かまぼこ、つみれ。

さらにはフィッシュソーセージや冷凍の魚フライなども、スケトウダラを主原料としている。

そういえば、最近人気を博しているコストコの「すり身スティック(カニカマ)」。

「ほぼカニ!!!」と話題になっていたが、これも実はスケトウダラだ。

色々とアレンジできるようなので、コストコに行かれた際はぜひ探してみてほしい↓

そしてもう一つ忘れてはいけないのが、マクドナルドの主力商品のひとつである「フィレオフィッシュ」。

食べたことがある方は、一体どんな魚が使われているのだろう?と気になったことはないだろうか。

そう、このフィレオフィッシュの原料となる魚はスケトウダラ。

こんなところでも、私たちはこの魚を知らず知らずのうちに食べていたのだ。

明太子

身の部分は加工食品に使われることがわかったが、では、スケトウダラの卵は一体何に使われているのか。

これはご存知の方も多いだろう。

そう、日本人が大好きな「明太子」である。

明太子といえば福岡のイメージが強いが、スケトウダラが獲れるのは北の海。

なんでも九州では水揚げされないらしいのだ。

ではなぜ明太子は博多の名産品となっているのか?

その答えは、明太子の起源に隠されている。

博多明太子の起源と歴史

よく食べるのに、意外と知らない明太子の起源。

調べてみるまで日本発祥のものだと思っていたのだが、もともとは朝鮮半島の伝統食だったらしい。

そう、実は明太子は韓国発祥の食べ物だったのだ!

博多明太子は今や日本中で愛される食べ物だが、どうやらその起源と歴史には興味深い経緯があるらしい。

早速深掘りしていこう。

明太子の発祥

そもそも明太子とは、スケトウダラの卵を唐辛子やニンニクで漬け込み、発酵させた食べ物だ。

この食べ方は朝鮮半島で「明卵漬(ミョンランジョ)」と呼ばれ、キムチやコチュジャンのように17世紀頃から根付いていたらしい。

なんとなく日本のものだと思っていたが、たしかに材料や作り方を考えると韓国発祥というのも頷ける。

ちなみに、明太子の語源も朝鮮語から来ているらしい。

スケトウダラは朝鮮語で「ミョンテ/明太」と書くことから、スケトウダラの子どもで「明太子」。

明太子が何の魚の卵なのかを知らなかった人もいるかもしれないが、実はそのまま名前になっていたのだな。

日本への伝来

明太子の起源は韓国だということが判明したが、ではどうやって日本に伝わったのか?

ことの始まりは、第二次世界大戦後。

戦後博多に引き上げてきた日本人が、明太子を日本風に改良し、博多中洲で販売し始めたことが始まりだとされているのだ。

この日本人が誰なのかというと、あの明太子で有名な「(株)ふくや」の創業者・川原俊夫氏。

「(株)ふくや」は日本で初めて辛子明太子を製造した企業なのだが、その理由がこれで繋がったな。

福岡から全国へ

日本人の味覚に合うように改良に改良を重ね、ようやく人気を博した辛子明太子。

それが博多から全国に広まったきっかけを作ったのも、実は川原氏だと言われている。

信じられない話だが、なんと彼は同業他社に明太子の製造方法を公開したのだ……!

計り知れなほどの苦労を重ねて成功を収めたにもかかわらず、

<明太子は珍味じゃない。ただの惣菜だ。だから特許なんて必要ないし、みんなで作ればいい!>

と喜んで工場を見学させ、製造方法を教えてあげる懐の深さたるや……

(味の秘訣だけは秘密にしていたらしいが、それ以外はなんでも教えてあげたらしい)

私だったら光の速さで商標登録と特許を申請し、金儲けに勤しむだろう。

しかし、川原氏のおかげで今や数多くの明太子メーカーが市場に参入し、私たちは気軽に明太子を食べることができているのだ。

いやはや、まさか明太子にこんな素敵な裏話が隠されているとは。

ちなみに全国に広まるきっかけになった出来事がもう一つあり、それは「山陽新幹線の開通」

その頃には福岡の名産品として全国に知れ渡っていたので、お土産や贈り物として爆発的に売れ始めたのだとか。

明太子にこんな歴史があったなんて、驚きではないか?

ぜひ豆知識として、明太子を食べる際には友人や家族に得意げに披露してほしい。

そしてこの背景を知った上で、ぜひ「(株)ふくや」の公式HPを見に行ってくれたまえ。

ふくやと明太子の歴史を漫画にしたものも公開されているのだが、それを読んだ上でトップのこの文字を見ると……

<公式HPより引用>

なんだかもう泣きそうになってくる。いや、ほんとに。

今後明太子を食べるときは、必ずこの

“明太子をつくってよかった。”

の言葉が頭に浮かぶだろう。

https://www.fukuya.com/company/story/

明太子も買ってね!

国産明太子はとても貴重!

明太子の起源がわかったところで、重大な事実がひとつ。

なんと私たちが普段食べている明太子の原料は、そのほとんどが今や外国産スケトウダラなのだ。

乱獲などの事情により、日本近海での収穫量が減ってしまったスケトウダラ。

しかしその一方で、スケトウダラを原料とする練り物や冷凍食品、明太子などの需要は拡大している現状がある。

そうなってしまうと、もう輸入に頼るしかない。

明太子の原料であるスケトウダラの卵は、そのほとんどが外国で収穫され、その後冷凍されたものが日本に卸されているのだ。

そう考えると、国産の明太子はかなり貴重だと言えるだろう。

そしてそんな中でも国産にこだわり続けているのが「博多辛子めんたいこひろしょう」さん。

こちらの明太子は“北海道産のスケトウダラの卵”のみを使用しているらしいので、明太子好きはぜひ食べてみてほしい↓

スケトウダラは健康に良い?

スケトウダラが日本に馴染み深い魚だということが明らかになったが、実は近年その栄養素についても注目が集まっている。

脂質が少ないことから美容や健康に気を遣う人にとっては嬉しい食材なのだが、最近ではスケトウダラの「タンパク質」に注目した研究が行われているらしい。

ニッスイさんの研究によると、なんでもスケトウダラのタンパク質は、卵以上に良質で効率的(体内で利用される割合が高い)なんだとか。

ちなみに筋肉には「速筋」と「遅筋」があり、スケトウダラのタンパク質に多く含まれているのは前者。

「速筋」:瞬発力(瞬時に大きな力が発揮できる無酸素運動向き)

「遅筋」:持久力と耐久力(スタミナを必要とする有酸素運動向き)

速筋は衰えるのが早いと言われているため、身のほとんどが速筋タンパク質であるスケトウダラは、積極的に摂りたい魚なのだ。

(65歳以上の女性を対象とした実験では、1日4.5gのスケトウダラを6ヶ月間食べ続けるだけで、なんと筋肉が1.12%も増加したらしい)

加工食品の原料として有名なスケトウダラだが、実は健康面から見てもとても有能。

塩分には気をつけて、積極的に摂取していこうじゃあないか。

まとめ

今回の調査で、スケトウダラが現代の食文化にも深い影響を与えていることがわかった。

健康効果も高いということで、今後ますます需要が高まっていきそうではあるが、その一方で輸入に頼らなければならないのも現状だ。

ということは、外国との関係悪化で、日本の食卓から練り物や明太子などが消えてゆく可能性もあるということになる。

国際関係が日本の食文化にも影響するということも、忘れてはならない事実なのだろう。

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