吉沢亮さん・杉咲花さんらで映画化もされた、住野よるさんの『青くて痛くて脆い』。
文庫化もされているため、読了済の方も多いだろう。
『キミスイ』は高校生が主役だったが、今作は大学生の「最後の青春」を描いた作品だ。
青春小説というと<淡く切ない痛み>を想像するかもしれないが、そんな生ぬるいものではない。
まるで鋭利な刃物で容赦無く傷をえぐられるような、そんな痛烈な痛みだ。
かつて誰かを傷つけたこと、傷つけられたこと。
そんな記憶が鮮明に甦り、わたしの古傷からは大量の血が溢れ出た。
そして思った。
「豆大福が、食べたい」と。
豆大福史上 No. 1
それはほんの数年前のことである。
口の周りを粉だらけにしながら、小人は静かに衝撃を受けていた。
な、なんだ。この白くて柔らかいものは、、、と。
二等兵が買って来てくれたその豆大福は、とんでもなくうまかった。
かつて食べたどんな大福よりも、うまかったのだ。
これほどまでに完璧な豆大福に出会ったのは、生まれて初めてだった。
小人は確信した。
この子は、豆大福史上最高の豆大福である、と。
それは、完璧だった。
指で掴むとふにゃりと変形してしまうほど、それは柔らかく繊細だ。
もちもちを一口かじると、中からは絶妙な甘さのあんこが顔を出す。
あんこはつぶあんだが、まるでこしあんのように滑らかな舌触りだ。
上品な甘さの奥をたどってゆくと、ほのかに感じる塩気。
硬すぎず柔らかすぎない豆の食感は、皮のもちもちやあんの滑らかさを、決して邪魔することはない。
そう、全てが絶妙なのだ。
何かが突出しすぎることも、足りないこともなく。
全てが一体となって、この完璧な豆大福を作り上げているのだ。
最近原材料の高騰でわずかに値上がりしたそうだが、それでもひとつ150円。
ついつい沢山買いたくなってしまうが、その気持ちをグッと堪え、その日食べられる分だけを所望する。
当日中に食べるべし。
余計なものは一切入っていないため、当日中に食べることが鉄則。
時間が経つほど固くなってしまうため、できればすぐに食べた方がよいだろう。
一度、次の日の楽しみにとっておいて、激しく後悔をした経験がある。
日持ちしないため、手土産には向かないがそれがよい。
ただでさえ夕方には売り切れてしまうのに、全国から客が殺到したら大問題だ。
わたしが食べたいときに買えなくなってしまう。
ちなみに、豆なしもある。
この店には、豆大福だけでなく豆なし大福もある。
どちらも食べたことがあるが、小人は断然豆大福派だ。
二等兵はもともと豆なし大福派だったのだが、完全に寝返った。
豆嫌いの二等兵でさえ虜にしてしまうほど、ここの豆大福はうまいということだ。
こんな完璧な豆大福に出会ってしまったら、もうよそに浮気はできない。
わたしはこの店の豆大福と、生涯を共にすることを誓い合ったのだ。
あ、セブンの豆大福はたまに食べている。
大切な人に贈りたい。
友達と仲直りしたい君も。
娘から煙たがられているお父さんも。
恋人に結婚を申し込もうとしているあなたも。
懐柔させたい人間がいる諸君は、今すぐこの豆大福を買いにゆくがよい。
おそらく、この豆大福があれば60%くらいは成功するだろう。
ま、どこの店の豆大福なのかは教えないがな。