たしかに、予兆はあった。
それなのにわたしは現実から目を背け、
気づかないふりをしたのだ。
君がいないと、何かはできない。
別れを告げられた瞬間は「何故こんな突然…」と裏切られた気持ちになったが、
今考えてみれば、前日からどうも様子がおかしかった気がする。
「あのとき、きちんと向き合っていれば」
そう何度も後悔をしたが、今となっては後の祭りだ。
「さよなら」と言った君の気持ちはわからないけれど。
君がいないと、何もできないわけじゃない。
壊れた彼と冷めた小人。
それは、いつもの風呂上がりだった。
ドライヤーのスイッチを入れ、髪を乾かしはじめると
<ぶふぉぉぉぉぉぉぉ>という大きな音が、次第に<ふぉぉぉぉぉぉ>という小さな音に。
おかしいなと思っていると、最後に<すんっ>と言って、
彼は永遠に動かなくなった。
二等兵が分解してくれたが、原因はわからず。
後に残されたのは、バラバラになった彼と小人の冷え切った頭。
わたしはそのとき悟ったのだ。
唐突に別れを告げられた人間は、こんな気持ちなのかと。
爽やかな君では物足りない。
しかし、<自然乾燥>という選択肢はない。
次の日に風邪を引くという可能性はおろか、
小人のキューティクルにも大ダメージを与えるからだ。
もちろん、二等兵の頭皮にも。
途方に暮れた小人は閃いた。
「我々には風早君がいるではないか!」と。
いそいそと風早君を段ボールから出し、髪を乾かす小人。
・・・・・・・・・寒い。
予想はしていたが、風早君の風はちと爽やかすぎた。
まさか初めての仕事が髪の乾燥だとは、彼も思いもよらなかっただろう。
あ、ちなみに風早君とはサーキューレターの名前だ。
(結局、風呂場の浴室乾燥を使って乾かした)
風早誠くんの記事はこちら⬇︎

そして次の日、出会いの場へと走る。
ドライヤー売り場で散々迷ったのは、このふたつ。
王道の「Panasonic」か、サロンシェアNo. 1の「TESCOM」か。
ここで重大な事実をお伝えしておこう。
突然壊れたドライヤーは、Panasonicの製品だ。
もちろん、我々の使い方に問題があったのかもしれない。
だが、購入してからまだ2年ほどの短い付き合いだ。
手酷い裏切りにあった元恋人と、まだ未知数の彼。
小人は二等兵に決断を託した。
結果、二等兵は「TESCOM」を選んだ。
意外と根に持つタイプなのかもしれない。
新しい彼は優しかった。
まだ使い始めてばかりだが、今のところいい感じである。
新しい彼の特徴を、いくつかお伝えしよう。
- 速乾 : 大風量・大風圧・ハイパワーで、乾くのが早い。
- 最軽量 : 500㎖ペットボトル以下の重さ。ロングヘアーでも疲れにくい。
- プロテクトイオン : 独自のプロテクトイオンが、美髪へと導く。
1、2は確かに実感がある。
大風量で乾くのが早いが、温度が高すぎないのは素晴らしい。
「熱風」ではなく「温かい風」という感じなので、風力はあるが柔らかい印象だ。
夏場の汗だくストレスが軽減されそうでよき。
3の「プロテクトイオン」は髪に艶を与えたり、広がりを抑えたりする効果があるらしい。
正直わからん。
意外にも、二等兵が気に入っていたのはこの部分。
レバーを押すだけで簡単にコンセントから抜くことができるのだ。
なんとも地味であるが、こういった細やかな気遣いも評価すべき点である。
というわけで、個人的にはなかなか良いのではと思っている。
お値段も5,000円ほどなので、安すぎず高すぎずと言ったところ。
小人の傷ついた心とキューティクルは、
彼の温かな風で癒されつつあるのだ。
コメント
[…] 「別れは突然に」たしかに、予兆はあった。 それなのにわたしは現実から目を背け、 気づかないふりをしたのだ。 君がいないと、何かはできない。 別れを告げられた瞬間は「何故こん […]